取締役等の本人確認証明書
株式会社の設立登記、又は、取締役、監査役等の就任(再任の場合を除きます。)の登記には、原則として、取締役等の運転免許証のコピー又は住民票等、本人であることを確認できる書類を添付する必要があります。
具体的には、取締役等の就任承諾書に記載された氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市区町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(本人確認証明書といいます。)を添付する必要があります(商業登記規則第61条第7項)。運転免許証など原本を提出することができないものは、その取締役等が原本と相違がない旨を記載したコピーを提出します。ただし、別の規定(商業登記規則第61条第4項、第5項、第6項)に基づき、登記の申請書にその取締役等の印鑑証明書を添付する場合は、さらに本人確認証明書を添付する必要はありません(商業登記規則第61条第7項ただし書)。
本人確認証明書の具体例としては、以下のものがあります。
- 住民票の写し(個人番号が記載されていないもの)
- 印鑑証明書
- 戸籍の附票
- 運転免許証等のコピー
表裏両面をコピーして、本人が「原本と相違がない。」と記載して、記名押印する必要があります。 - 住基カード(住所が記載されているもの)のコピー
表裏両面をコピーして、本人が「原本と相違がない。」と記載して、記名押印する必要があります。 - マイナンバーカードの表面のコピー
表面(氏名、住所、生年月日及び性別が記載されている面)のみをコピーして、本人が「原本と相違がない。」と記載して、記名押印する必要があります。
なお、市町村長から交付される個人番号の「通知カード」は、本人確認証明書として使用することはできません。
株式会社のほか、一般社団法人、一般財団法人、投資法人又は特定目的会社の役員についても、本人確認証明書が必要になりますが、合同会社の社員や職務執行者、外国会社の日本における代表者については、不要です。
外国人である取締役等の本人確認証明書
取締役等が外国人である場合も同様に本人確認証明書が必要になります。
まず、日本に居住している外国人については、日本人と同様に、上記の住民票の写しや運転免許証等のコピーが該当するほか、在留カードや特別永住者証明書のコピーも利用できます。
次に、海外に居住している外国人については、上記の住民票の写しなどは利用できないため、どのような書類が本人確認証明書となるのかが問題となります。
法務省の通達では、氏名及び住所が記載されている公務員が職務上作成した証明書として、(1)外国官憲の作成に係る取締役等の氏名及び住所が記載された証明書と、(2)外国官憲の発行に係る身分証明書等のコピーで、その取締役等が原本と相違がない旨を記載して、署名又は記名押印したものが本人確認証明書に該当することとされています。なお、外国官憲とは、その取締役等の国籍国の官憲に加えて、その取締役等の居住国など国籍国以外の外国の官憲も含まれます。
(1)については、具体的には、取締役等が公証人等の認証権限を有する官憲の面前で宣誓のうえ、氏名、住所、生年月日などを供述した書類で、公証人の認証を受けたもの(いわゆる宣誓供述書)を利用することが考えられます。
(2)については、国によって異なりますが、具体的には、以下のようなものが考えられます。いずれも、住所の記載があるものに限ります。
- 各国のDriving License
- 中国の居民身分証
- 台湾の国民身分証
- シンガポールのNational Registration Identity Card(NRIC)
なお、パスポート(旅券)については、住所を記載して発行されたものであれば、本人確認証明書に該当しますが、パスポートに住所を記載して発行する国は少ないと思われます。